アメリカ大統領選挙とは一体、何なのか?⑥
アメリカ人にとって、他州のことは感覚的に外国
倉山満によるアメリカ大統領選挙解説シリーズ第6回
トランプ VS クリントン、第三回の公開討論会も終了。投票日である11月8日も目前のアメリカ大統領選挙。アメリカの世論調査では、クリントンの支持率がトランプをうわまわったといわれています。メディアの報道では、トランプ現象の終焉などの記事もちらほら。日本にとって、アメリカ大統領が誰になるのかは国益を大きく左右する重要事項です。しかし、そもそも日本人はアメリカ合衆国の実像を知っているのでしょうか? 大きな勘違いアメリカ陰謀論などを正しながら、日米史を振り返る、絶賛発売中の『大間違いのアメリカ合衆国』。中でもアメリカ大統領選とは一体どういう選挙なのか?誰でも理解できるアメリカ大統領選挙をシリーズでご紹介します。
アメリカ人の移動は飛行機か、引きこもりで移動しないか
六月に予備選挙が終わると、七月にそれぞれ党大会があります。
ここで正式に党の公認候補が決まり、党の結束を確認するセレモニーを行います。
共和党は反トランプ派が連合を組もうとする動きもあったようですが、不正をして無理やり引きずりおろしても党の結束が保てないでしょうし、アメリカ国民も納得しないので、当選後の人事に関する意見の交換などで折り合いをつけることでしょう。
八月以降は本選挙で、これは一対一のテレビ討論を中心に、それぞれの州を回り、遊説します。
どこで遊説大会をやるかというのが勝負で、もう日本とは比にならないくらい、戦術を考えて動きます。
日本では選挙公示後に人口が少ない場所に行ってしまうような人もいますが、アメリカは広すぎるので、限られた時間で効果的にアピールする方法を考えます。
広いアメリカをざっくり見ると、東海岸がWASPのいる大都会で、南のバージニア王朝がこけてからは、政治も経済も北に中心があります。
そして、西の方に行けば行くほど田舎になって、中西部はほとんど無人の荒野が続き、西海岸のカリフォルニアの三つの都市ぐらいだけが都会という広大な土地です。
だから、鉄道で発達した国であるのに、今は移動手段が飛行機という国です。
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